脱出ゲームが失敗する3つの理由

脱出ゲームの店舗が閉店するのは、「市場が悪いから」ではありません。市場自体は健全です。米国では店舗数が3年連続で横ばいを維持しており、ゲーム型の体験フォーマットは世界的に伸びています。閉店する店舗には個別の具体的な理由があり、そのほとんどが同じ3つに集約されます。私たちは脱出ゲームを制作する立場であると同時に、かつては自社店舗を運営していた経験もあり、この事業を長年にわたって両側から見てきました。以下がその3つの理由と、そのすべてを回避するためのチェックリストです。
理由1. 商品は優れているのに、売る力が弱い

事業を経営することと、脱出ゲームをつくることは、まったく別の職業です。ゲームの設計者はエンジニアであり、クリエイターでもあります。一方で、販売、マーケティング、予約管理はまったく異なるスキルセットを必要とします。どれほど優れた商品であっても、お客様を呼び込む力がなければ、予約はひとりでには入りません。
もっともよくあるのがこのパターンです。運営者は何か月もかけて謎と内装を磨き上げ、そのうえで「最初の100組はどこから来るのか」という問いに「口コミです」と答えてしまう。口コミは確かに機能しますが、それはすでに動いている販売を増幅する装置としてであって、販売の代わりにはなりません。
うまくいっている店舗は、商品と販売の両輪がどちらも強いものです。どちらか一方だけでは、事業を支えきれません。
この理由の内側には、もうひとつ別の落とし穴があります。予約ポータルサイトや割引クーポンサイトへの依存です。私たち自身、店舗を運営していた頃にこれを経験しました。
自社のブランドではなく、ポータル側のブランドを育てることになってしまいます。そこから抜け出すのは容易ではありません。時間だけが過ぎ、自社の販売体制はいつまでも整わないからです。やがてポータル側が手数料を引き上げると、予約がまったく入らないか、予約はあっても利益が残らないか、どちらかになります。私たちはポータルサイトから手を引き、自社の販売チャネルを構築しました。
新規参入者がたどる道はいつも同じです。最初はすべて順調に見えます。運営者は好きな商品づくりに打ち込み、予約はポータル経由でぽつぽつと入ってくる。問題が表面化するのは、本格的に稼ぐ段階に入ったときです。販売体制は結局つくられておらず、その代役を務めてきたチャネルは取り分を増やし続けているのです。
理由2. 顧客リストを活用していない
最初の「コールド」なお客様の獲得には、必ず大きなコストがかかります。広告費、初回割引、チャネルへの手数料。利益が生まれるのはその先、リピート利用です。すでに顧客リストに入っているお客様に再度販売するコストは、ほぼゼロに近いからです。連絡先を集めず、新しいゲームやイベントでお客様を呼び戻す仕組みもない店舗は、1件の予約ごとに毎回フルの広告費を払い続けることになります。
割引に頼らずにお客様を呼び戻す方法——イベント、新しいストーリー、法人や誕生日利用への取り組み——については別の記事で詳しくご紹介しています。ここで重要なのは原則そのものです。顧客リストは資産であり、あなたのために働くか、静かに価値を失っていくかのどちらかなのです。
理由3. ゲーム内容が古びている

3つめの理由は、前の2つを結びつけて悪循環をつくり出します。内容が古びたゲームでは、顧客リストを活かすことができません。すべてプレイし尽くしたお客様には、戻ってくる先がないからです。さらに新規のお客様の獲得にも悪影響が出ます。初めて来る方は、あなたの過去とではなく、街でいちばん評判の良い店舗と比較するからです。5年前に驚かれた仕掛けも、今日では平凡に見えてしまいます。
これは技術だけの問題ではありません。お客様の行動そのものが変化しています。仲間と一緒に何を楽しみたいのか、何を撮影し、何をシェアするのか。複雑な電子制御がなくても、今の流行に合ったゲームをつくれば予約は埋まります。逆に、昨日のアイデアに演出を詰め込んでも、予約はまったく入りません。ゲームが古びていないか、そして改修と入れ替えのどちらが安く済むか——これは予約数に陰りが出る前に判断しておくべきことです。
伸びている店舗がやっていること:2つの実例

米国ワシントン州のConundroomは、この3つすべてを実践しています。SNSマーケティングの強さ、リピート利用に向けた顧客リストの活用、そしてアトラクションの定期的な刷新です。その結果、新しいアトラクションは2か月で投資回収しています。また、北マケドニアのThe Cubeは、ショッピングモール内で4年以上にわたり安定して運営を続けています。モールの集客力とリピーターに支えられた形です。
開業前のチェックリスト
- 最初の100組をどこから、いくらのコストで集めるのかを書き出す。「口コミ」は答えとして認められません。
- 賃貸契約を結ぶ前に数字を検証する。開業予算、投資回収、平日を埋めるための計画。
- 最初のお客様から顧客リストを積み上げ、半年後に何が再来店のきっかけになるかを設計しておく。
- ポータルサイトはあくまで自社販売の補助として使い、予約全体に占める比率を常に把握しておく。
- ゲームの刷新費用を当初から予算に組み込む。ホテルの改装と同じく、事業計画に織り込むべき項目です。
よくあるご質問
そもそも脱出ゲーム事業は儲かるのですか? はい、上記の3つの条件を満たしていれば儲かります。市場は安定しており、ゲーム型の体験フォーマットは伸びています。閉店はあくまで個別の失敗の話であって、業界そのものへの判決ではありません。具体的な数字は収益性に関する記事にまとめています。
もっとも早く現れる危険信号は? リピーターの比率です。戻ってくるお客様が減り、来店の頻度も落ちているなら、すでに1件の予約ごとにフルの広告費を払っている状態です。売上にはまだ表れていないだけです。
「良い制作会社」を選べば、これらの理由は解決しますか? 最初の2つは解決しません。販売と顧客リストは運営者ご自身の仕事です。3つめについては解決します。適切な制作会社を選べば、ゲームの刷新は速く、見通しの立つものになり、故障も少なく、起きてもすぐ直せます。
まずは優れた商品から
方程式の半分——商品——は、ご自身で一から考える必要はありません。城も宝箱も、完成した状態で届き、あとから内容を更新できます。もう半分——販売——は、運営者ご自身の役割です。シミュレーターでご自身の条件を試すか、お問い合わせください。
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